今回は「レンタルサーバーとは何か」について解説します。
以前にレンタルサーバーについて解説しましたが、今回は異なる視点から解説しています。
「レンタルサーバーを利用する」とは「業者が運用しているサーバーを借りること」です。
ただ、まるまる1台レンタルサーバーを借りているわけではなく、部分的に借りている、またはサーバー機能のサービスを利用しています。
自分でレンタルサーバーを運用することは非常に難しい
自宅にサーバーを置いて個人で運用することもできます。
ただし個人で運用するにしても、コストが半端ないくらいに掛かります。
最低限の構成でも以下のコストがかかります。
- 場所代
→ 拡張性・メンテナンス性を考慮して大型のデスクトップパソコンを買うとしても結構な場所を取ります。
- サーバー代
→ 24時間365日稼働し続けるようなサーバー向けのコンピュータ(デスクトップ型のパソコンでも)30万円くらいはします。
- 周辺機器代
→ ディスクの冗長化(RAID)、バックアップ用のディスク、FW、ルーター等必要になります。
- 通信代
→ 最低でも固定IPで光回線を引く必要があります。
- 電気代
→ 24時間365日稼働し続けるのでそれなりに電気代がかかります。
- 人件費
→ 自分1人で運用するとしても、メンテナンスが作業で時間が取られます。
何よりサーバーの運用作業やメンテナンス作業で結構な時間が必要になります。
→本業がインフラ系エンジニアなら業務知識を付けるために副業でやっている人ならいますが、趣味レベルでやるのはきついレベルです。
さらにレンタルサーバーなので、多くのクライアントの貴重なデータを保存して運用しています。
何か障害が発生した場合にどこまで責任を取れるかという法律面でも事前に対応しておく必要があります。
このように書くと個人でレンタルサーバーを運用するのは敷居が高いように感じます。
誰でもレンタルサーバー業者になれる
しかし、実はレンタルサーバー業者になること自体は、簡単になれます。
なることだけなら簡単です。
ただ責任を持って運用したり、クライアントを増やすような様々なサービスを提供して収益を上げていくのは難しいです。
例えば、大手レンタルサーバー会社の専用サーバーを借りて、自分でレンタルサーバーを構築してカスタマイズして領域を切って個別にクライアント(お客さん)に販売すればいいだけです。
例えば、
- ディスク容量20GB
- MySQL5個まで作成可能
- PHPのバージョンは5.6
- 料金は毎月500円
など自由に設定して販売すればいいのです。
以下のような専用サーバーをレンタルして自由に設定して貸し出すことができますが、大手レンタルサーバーのようにコントロールパネルを作り、個別にログインさせて自由に設定をさせるとなるとかなり敷居が高くなります。
だから最初は、知り合いだけに無料で貸すだけ、つまり、FTPでHTMLファイルなどのデータをアップロードして置くだけでそれ以外のカスタマイズはできない、というところから小さくスタートして、徐々にノウハウやサービスを発展させていく感じになるでしょうか。
サーバーは絶対に落ちてはいけない義務がある
最終的には契約次第になりますが、基本的にサーバーは落ちてはいけないものです。
私たちレンタルサーバーを利用しているユーザーは、レンタルサーバーは落ちない前提で契約してお金を払って利用しています。
「当社のレンタルサーバーはよく停止していつ復旧するか分かりません」という前提なら無料でも借りないと思います。
理由は、24時間365日稼働し続けないサーバーにはデメリットしかないからです。
- 頻繁にサーバーが落ちて
- 自分のサイトにお客さん集まってこなかったり
- 自分のサイトからお客さんが逃げていったり
- Googleの検索順位が大幅に落ちたり
- Googleのインデックスから削除されたりする
ようなら、たとえ無料でもデメリットしかありません。
だから基本的にサーバーは絶対に落ちてはいけないという前提があります。
24時間365日サービスを提供し続ける義務があります。
サーバーの役割はサービスを提供し続けること
Part.1でも記載しましたが、サーバーとは「サービスの提供者」という意味です。
レンタルサーバーで「サービスを提供する」とは、「パソコンやスマホなどのクライアント(ユーザー)からのリクエスト(この画像が欲しい、この情報が欲しい等)に対して情報を提供すること」を言います。
Webサーバーならサーバー内にWebページを保持しており、クライアント(ユーザー)からリクエストが来たらデータを送信してクライアントのブラウザ上で見えるようにします。
※パソコンのブラウザでインターネットの情報を閲覧する時、データはインターネットを通じてパソコンにダウンロードされ、それをブラウザが表示をしています。
だからインターネットの通信が良くないと、データのダウンロードに時間が掛かるので、インターネットが「重たい」とか「遅い」という表現をします。
サーバーが落ちないためにいろんな工夫がされている
そのため、サーバーにはいろんな工夫がされています。
冗長化(Redundancy)
サーバーはサーバーを構成する各要素を冗長化しています。
各要素とは、ディスクであったり、ネットワークであったり、電源であったり、さらにはサーバーそのものを冗長化していることもあります。
冗長化を「Redundancy」と言いますが、「Redundancy」の意味は「余分、余剰、人員過剰」などの意味があります。
つまり、あらかじめ「余分なもの」を積んでおいて何かあったら切り替えてサービスを提供し続けることができるように対策をしています。
ディスクを複数組み合わせて、ディスクが壊れてもサービスを提供できるように構成したものを「RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)」と言います。
「Inexpensive Disks」と言うように安価なディスクを複数利用して冗長化を実現する構成です。
(ただ絶対に停止してはいけないシステムでは高額で障害が起きないエンタープライズレベルのディスクを更に冗長化してほぼ100%停止しないという環境を作っています)
ネットワーク経路を冗長化して、NIC(ネットワーク・インタフェース・カード)も冗長化して、1つのネットワーク経路に障害が発生しても、他のネットワーク経路に切り替えて通信ができるように構成をすることもあります。
このようにサーバーに障害が発生してもサービスを提供し続けられるように構成されていることを「冗長化」と言います。
たとえば、通常の企業では以下の要素を冗長化します。
- ディスク
- ネットワーク回線
- NIC
- 電源
- サーバーそのもの(Webサーバー、DBサーバー)
- L2スイッチ・ルーター・FW(ファイアウォール)・ロードバランサ―等
レンタルサーバーとはWebサーバーである
厳密にいうと、メールサーバーとして利用している方もいると思いますし、他の用途で借りている方もいると思いますが、ほぼ「レンタルサーバー」イコール「Webサーバー」として使われています。
※ちなみに私は月100円程度の格安レンタルサーバーをバックアップサーバーとして使っています。
以下の記事参照
インターネットにホームページ・Webサイトを公開するには
インターネットにホームページ・Webサイトを公開するには、以下の2つの方法があります。
1.レンタルサーバーを借りる
2.プロバイダのホームページサービスを利用する
3.自宅でWebサーバーを構築する
4.VPSやAWSなどのクラウドサービスを利用して自分でWebサーバーを構築する
※最近はプロバイダのホームページサービスは少なくなっています。
まだまだ圧倒的にレンタルサーバーを利用してホームページやWebサイトを公開している人が多いです。
多数のユーザーがアクセスしてくることを前提に設定やチューニングをしている
「レンタルサーバー」イコール「Webサーバー」だと言いましたが、世界中の人がインターネットを利用している現在において、突然アクセスが増えることがあります。
そのためいつ大量のアクセスが来ても対応できるように設定やチューニングをしています。
ただしその設定も各レンタルサーバー会社のポリシーに従います。
たとえば、突発的な大量アクセスが来た場合
A社の場合
- サーバーのスペックを上げてアクセスの取りこぼしがないように処理能力を上げる
- CPUの増加
- メモリの増加
- ネットワーク帯域幅の増加
B社の場合
- サーバーの通信を一旦断絶して大量のアクセスがなくなるまで待ち、他のユーザーの影響を抑える
- ネットワークの遮断
- 特定ユーザーのみネットワーク帯域幅の制限
A社はスペックを上げて対処しようとするポリシーで、B社はアクセスを遮断することで対処しようとするポリシーです。
どちらの対応も間違えではありませんが、どのように対処するかは「料金」によって異なります。
高機能レンタルサーバー → A社のように対処使用するところが多い(料金が高め)
格安レンタルサーバー → B社のように制限することが多い(料金が安め)
やはり料金が高いレンタルサーバーはその分サービスをしっかり提供してくれますし、格安のレンタルサーバーはそこまで対応はしてくれません。
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