さくらインターネットの「基本約款」が中国共産党への恭順が見えると話題に?

 

2017年3月8日にさくらインターネットの「基本約款」が改定されたので内容を確認してみました。

2017/03/08 	基本約款改定のお知らせ

さくらインターネットの「基本約款」を読む

お知らせのURLです。

 

基本約款改定のお知らせ

https://www.sakura.ad.jp/news/sakurainfo/newsentry.php?id=1550

 

約款とは何か?

約款(やっかん)と読みます。

意味は、契約に定められている個々の条項のことを言います。

状況によっては「条約」に関して言うこともあります。

この場合は、企業が大量の顧客との契約を画一的に締結し、迅速に処理することを目的としてあらかじめ定めておく契約条項のことを言います。

例えば、画一的に「期限が来たら自動的に契約を延長してクレジットカードから自動的にお金を引き落とします」などです。

全ユーザーに対して毎回「契約を延長しますか?」と電話連絡をしていたらコストがかさんでしまいます。

 

 

さくらインターネットの基本約款の何が変わったのか?

基本的には以下の点です。

今まで → 日本在住者しか利用できない

これから → 海外の在住者も利用できる

具体的には中国(共産党?)への言論の条項が追加された

 

新約款との対照表(変更点一覧)  

https://www.sakura.ad.jp/agreement/20170315_taihi_kihon.pdf

当サーバー上にもpdfファイルのzipあり

https://go-journey.club/wp-content/themes/apt-pc/images/20170315_taihi_kihon.zip

 

 

第16条(禁止事項)

以下、第16条です。

 

第16条(禁止事項)

1.利用者は、次の各号に該当する行為を行ってはなりません。

i. 当社もしくは第三者の著作権·商標権·特許権等の知的財産権(日本及び日本以外の国のものの両方をいいます)を侵害する行為、またはそのおそれのある行為

ii. 当社もしくは第三者の財産、プライバシー肖像権その他の権利を侵害する行為、またはそのおそれのある行為

iii.  (略)

iv. 詐欺、規制薬物の濫用、児童売買春、預貯金口座および携帯電話の違法な売買等、日本の法令または利用者に適用される法令(当社が適用されると判断する法令を含みます。また、各法令には条例及び規則を含みます。本基本約款において以下同じ。)の下で犯罪とされるものに結びつく、またはそのおそれの高い行為

v. 日本の法令または利用者に適用される法令の下でわいせつ、児童ポルノまたは児童虐待に当たるとされる画像、文書等を送信または掲載する行為

vi. 日本の法令または利用者に適用される法令の下で無限連鎖講(ネズミ講)とされるものを開設し、またはこれにつき勧誘する行為

vii~xiii  (略)

xiv.日本の法令または利用者に適用される法令に照らし、違法に賭博·ギャンブルを行い、または勧誘する行為

xv.日本の法令または利用者に適用される法令における違法行為(けん銃等の譲渡、児童ポルノの提供、公文書偽造、 殺人、脅迫等)を直接的かつ明示的に請負い、仲介し、または誘引(他人に依頼することを含みます)する行為 xvi~xx (略)

xxi. 日本の法令または利用者に適用される法令に違反する行為またはそのおそれのある行為

xxii. 中華人民共和国(以下、「中国」といいます)の法令が適用される利用者については、以下の行為

ア 中国の法令が規制するコンテンツを掲載する行為

イ 中国の法令にて特別な許可証を必要とする事業を営む場合において、当該許可証を有さずにコンテンツを掲載する行為

ウ 中国に対する反体制的な意見のコンテンツを掲載する行為

エ 中国の文化·習慣に対する過激な意見のコンテンツを掲載する行為

オ 中国の機密·安全を脅かす恐れのあるコンテンツを掲載する行為

カ 帝国主義的·封建主義的な思想や迷信を発表する行為

xxiii. その行為が前各号のいずれかに該当することを知りつつ、その行為を助長する態様または目的でリンクをはる行為

xxiv. その他、当社が本サービスの利用者として相応しくないと判断する行為

xxv. 利用者の行為(不作為を含みます)により、当社の指定国における許可証その他関連資格が取り消される可能性があると当社が判断したとき

2 (略)”

 

突然ですがかなり変わっていて驚きました。

中国企業に買収された日本企業のように思えます。

 

日本に住んでいても中国の法律に従う必要がある?

日本に住んでいる日本人も中国の法律に従う必要があるのかというと、そんなわけはないです。

もしそうなら植民地のような関係になります。

 

「中華人民共和国(以下、「中国」といいます)の法令が適用される利用者」

以下の条件のどれかを満たしていれば中国の法律に従う必要があります。

  • 中華人民共和国の国籍を保有している
  • 中華人民共和国に居住している
  • 中華人民共和国に法人を所持している

 

「中国の法令が適用される利用者」は、中国政府(共産党)に逆らう言論をすることは禁止されています。

※実際に法輪功など弾圧されています。(Wikiによると死者3,000人くらい)

しかし日本で生まれて日本で育った日本人で、全く中国と関係のない人でも中国の法律に従う必要はあるでしょうか?

中国とは関係のない日本人でも中国の法律に従わないとリスクあり

個々の部分を読むと、全く中国とは関係のない日本人でも「さくらインターネット」を利用する限りにおいては「中国の法律」に従う必要があるようです。

 

xxiv. その他、当社が本サービスの利用者として相応しくないと判断する行為

xxv. 利用者の行為(不作為を含みます)により、当社の指定国における許可証その他関連資格が取り消される可能性があると当社が判断したとき

 

この条項を読む限りでは「さくらインターネット」側の判断で、ある日突然レンタルサーバーのアカウントが消滅するリスクはあります。

もちろん中国の法律に従っている限りでは安全と言えるでしょう。

 

日本国内では憲法で「言論の自由」は保証されていますが、

  • さくらインターネットを利用している
  • 政治的主張をするサイト

は中国に関しては慎重にならざるを得ないでしょう。

 

「当社の指定国における許可証その他関連資格が取り消される可能性」の文言を読む限りではさくらインターネットは中国国内で何らかのビジネスをしているように見えます。

 

2006年には「中国事業の拠点として、上海伯漢ネットワークテクノロジーとの合弁会社、上海伯漢信息技術有限公司を設立」しているようですが、これくらいでしょうか?

さくらインターネットは中国国内で何らかのビジネスをしている

IR情報を見ても特に中国との関係の記述はなかったようです。

と考えると、今後中国に進出をする予定なのでしょうか。

中国批判をしてサイトが消滅した場合、裁判はどうなる?

さくらインターネットでサイトを持っている人が中国共産党に関して批判をしたとします。

(と言ってもせいぜい言論の自由とか人権が大切だ程度とか)

 

旧約款)

第35条(紛争の解決)
1  (略)
2.利用契約に関する紛争については、東京地方裁判所または東京簡易裁判所を、第一審における専属的合意管轄裁判
所とします。

新約款)

第35条(紛争の解決)
1  (略)
2.利用契約に起因し、または利用契約にする一切の紛争について、利用者が当社を提訴する場合は、東京地方裁判所を、第一審における専属的合意管轄裁判所とします。当社が利用者を提訴する場合は、それぞれの国の法により裁判管轄を有する裁判所に加え、東京地方裁判所に提訴をすることができ、また、当社の選択により、裁判所への提訴に代えて、日本の東京における日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って行われる仲裁により解決することができ、利用者はこれに同意します。当該仲裁は、当社によって選任される1名の仲裁人により行われ、仲裁手続の言語は日本語とします。当該仲裁における判断は上訴の権利を伴わず、利用者及び当社を拘束します。

  • 紛争が生じた場合は、東京地方裁判所に提訴することができる。しかし、さくらインターネット社の選択により、正式な裁判所ではなく「日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って行われる仲裁」によって解決する場合があり、ユーザーは同意しているものとする。
  • その際の「仲裁人」は、さくらインターネット社によって選任される。
  • 当該仲裁における判断は上訴の権利を伴わず、利用者及び当社を拘束する。

    つまり、陪審員を企業側が一方的に選ぶということでしょうか。

しかもその判断(判決)に異議があっても、正式な裁判に上訴する権利がないということです。

 

これはかなりキツイ約款に思えます。

当サイトは中国共産党に対して政治的な発言はしませんが(ただし人権や言論の自由は大切だと思っています)(この発言が反中国的だと受け取られる可能性もあります)、政治的な発言をする場合は、このリスクをあらかじめ知っておかないと一方的に不利益を被る可能性があるので注意しましょう。

 

約款が無効になる可能性をあらかじめ予想した「第36条」?

旧約款)

なし(新設)

 

新約款)

第36条(分離可能性)
1.本基本約款およびサービス別約款について、いずれかの条項またはその一部が、消費者契約法その他の日本または利用者が居住する国(利用者が法人の場合は、利用者の本店が所在する国)の法令により無効または執行不能と判断された場合であっても、当該約款の残りの規定および一部が無効または執行不能と判断された規定の残りの部分は、継続して完全に効力を有するものとします。

 

ここまでくると裁判になったら「無効」になることを想定して、それでも残りの部分は100%効力があるものとして最後まで戦うよと読めてしまいます。

 

 

日本商事仲裁協会とは?

一般社団法人 日本商事仲裁協会

JACC(THE JAPAN COMMERCIAL ARBITRATION ASSOCIATION)

 

日本商事仲裁協会は、

  • 国内・国際間の商取引上の紛争を裁判所によらず解決を図る仲裁・調停・あっ旋事業
  • 外国に一時的に商品見本や仕事道具を簡便な手続で免税で持ち込める「一時免税通関書類(カルネ)」発給事業
  • ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)に基づく法務大臣認証(第7号)紛争解決事業者
  • 弁理士法に基づく弁理士による仲裁手続の代理

を行う経済産業大臣の指定団体です。

 

いろいろ調べた結果、日本商事仲裁協会に依頼するメリットとしては

  • 裁判所の裁判官ではなく、仲裁者を選べるため専門家に判断を任せることができる
  • 判決のスピードが速い(迅速な判決が可能)
  • 経費が掛からない

などでしょうか。

 

公平な判断・判決が下されるなら歓迎したいところです。

 

過去の判例では仲裁条項が認められた例・認められなかった例あり

企業が一般ユーザーと取引をする場合、「どうせ一般人は約款なんて読まないだろう」といろいろなトラップを埋め込むであろうことはよくあると思いますが、あまりに常識とかけ離れたような条項は裁判で否定されることがあります。

「仲裁条項」も過去の判例では「認められなかった場合」「認められなかった場合」がありますが、要するに「中身」が違法性があるかどうかということでしょう。

 

まとめ

まとめると以下のようになるでしょうか。

  • 中国(共産党)の意にそぐわないサイトがあると「さくらインターネット」の中国国内でのビジネス許可証がはく奪されるので止めましょう。そういうサイトを見つけたら削除します。
  • さくらインターネット社の判断で裁判をせずに仲裁で解決します。仲裁人は、さくらインターネットが選任します。
  • さくらインターネット社が選任した仲裁人による仲裁に納得いかなくても、正式な裁判を受けられません。

当たり前のことですが、中国でビジネスをするというのは「チャイナリスク」があります。

数年前も尖閣諸島の問題で反日デモがあり思いっきり工場や店舗に火をつけられていましたが、さくらインターネットはとんでもないリスクを抱えてしまったのかもしれません。

中国国内にレンタルサーバーを立てていきなり回線を切られたり、サーバーを没収させられる可能性もあります。

あるいは通信をすべて傍受されるとか。

 

スラドでも話題に

さくらの新約款は日本国籍の日本居住者にも影響する「史上最悪」の約款 (スコア:4, 興味深い)

 

Twitterでも話題に

 

 

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