VMware vSAN について調べました。
様々なテクノロジーがサーバーの運用コストを大幅に低減しています。
「AI」や「機械学習」などで人の仕事は奪われると言われていますが、インフラの世界も一度システムを構築してサービスを稼働したら、その後はもう運用管理がさほど必要なくなる時代が来ているのでしょうか。
外付けストレージが必要か?
VMware で仮想化環境のシステムを構築する場合、複数ホストで VMware vSphere を構築しますが、今までは複数ホストが数TBの外付けの共有ディスクにアクセスをして使用していたと思います。
しかし VMware 社がユーザーにアンケートを取ったところ、外付けストレージの運用管理にコストが掛かっていることが分かりました。
しかもハードウェアは年々高速化・大容量化・低価格化していきます。
ホストに搭載する内蔵ディスクも 2.5 インチ SSD で 1本 数TB クラスが出ています。
そこから「そもそも外付けディスクは必要か?」と言うアプローチが生まれました。
iSCSI接続なら既存のイーサネットを利用することができますが、ファイバチャネルを導入するとなるとファイバチャネルスイッチや光ファイバケーブルなどコストが掛かります。
しかも「iSCSI接続」も「ファイバチャネル接続」導入もかなりのスキルが必要です。
日々の運用管理もあり、障害が発生すれば仮想マシン全体に影響が出てしまうので、あまりいいソリューションという気はしませんでした。
VMware vSAN とは?
vSAN の特徴についてまとめました。
- 各ホスト内蔵の HDD や SDD だけを使ってプール化し共有の「仮想ディスク」を構築する
- 外付けストレージが不要になる
- スケールアップ・スケールアウトが可能
- VMware vCenter Server から一括で管理できる
- vSAN は ESXi カーネルに組み込み済み(ライセンスは必要)
- 汎用的な x86 サーバーで稼働(機種をそろえる必要がない)
- 仮想マシン単位のストレージポリシーによって管理ができる
- 内蔵ディスクのためパフォーマンスが高い
スケールアップ・スケールアウトが簡単に可能
- スケールアップ ← 内蔵ディスクを追加
- スケールアウト ← ホストを追加
ディスクは空きスロットに挿入するだけで勝手に認識されるので管理が楽です。
VMware vCenter Server から一括で管理ができる
ホストが複数台あっても VMware vCenter Server から一元管理ができます。
しかも「パフォーマンス監視」「ストレージ容量の監視」も vCenter Server から可能です。
コストが低減できる
- 外付けストレージ ← 1つ 1000万円レベル
しかし、企業のポリシーとして「単一障害点(Single Point of Failure)をなくそう」ということなら、外付けストレージを 2つ購入する必要があります。
そこに毎年のサポート料金、運用管理、障害対応などを含めると相当コストが掛かります。
しかし、vSAN の場合は複数ホストの内蔵ディスクをまとめて「仮想化」しているため「単一障害点」がありません。
- ディスクが1個壊れた ← 問題なし
- ホストが1台まるごと壊れた ← HA、FT で対応可能
VMware vSAN はハイパー・コンバージド・インフラストラクチャのテクノロジを使用している
HCI(ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ:Hyper Converged Infrastructure)とは、一言で言うと「ディスクの仮想化」です。
ディスクの仮想化だけなら、外付けストレージでも「仮想ボリューム」など実装されていますが、VMware vSAN は「サーバー(ホスト)」と「内蔵ディスク」を「仮想化」します。
オールフラッシュも可能・ハイブリッドも可能
内蔵ディスクを全て SSD に統一してオールフラッシュにすることも可能です。
また、高価な SSD は「キャッシュ」として利用し、データ保存を SAS にすると言ったようにハイブリッドな構成にすることも可能です。
- オールフラッシュ ← 全て SSD だが、高価格になる
- ハイブリッド ← SSD をキャッシュ、SAS をデータ保存で、低価格にする
障害に強い
上でも書きましたが、vSAN 導入で単一障害点がなくなります。
- HDD/SDD 障害 ← サービス影響なし。ディスクを交換し vSAN へ追加で完了。
- SSD(キャッシュ)障害 ← サービス影響なし。ディスクを交換し vSAN へ追加で完了。
- IOコントローラ障害 ← サービス影響なし。コントローラを交換し、RAID 再構成して vSAN へ追加で完了。
- ホスト障害 ← HA の場合は、仮想マシン再起動時間がダウンタイムとなる。FTの場合はサービス影響なし。(vSAN 6.1 から VMware FT がサポートされるようになった)
SDS(Software-Defined Strage)とは?
最近、SDS という用語をよく聞くようになりました。
調べると SDS という用語の定義は各社バラバラのようですが、簡単に言うと「ストレージをソフトウェアで抽象化している」ということでしょうか。
物理的にはストレージはディスクが集まったものです。
例えば、1本 300GB などの SAS ディスクを10本使って RAID5 を構成するなどしています。
SDS は更にそれらストレージをソフトウェアから管理しようとしています。
その結果、異なる環境、異なるプロトコル、異なるディスクでも負担無く運用できるようになります。
まとめ
ここまで来ると一度システムを構築したら、H/W障害対応はさほど必要がなくなりそうです。
ディスク交換は外部業者に依頼して、翌営業日に対応してもらえば十分なレベルです。
IT技術者は技術の研究や自動化の研究など、研究に特化していくような気がします。
vSAN のマニュアル
VMware vSphere 全体のマニュアル URL
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/index.html
VMware vSAN のマニュアル
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