以前、Linux での冗長構成（HA構成）について概要の解説をしました。
【Linux HA】冗長構成についての基本
今回は実際に VMware 6 の環境に仮想マシンを2台構築し、Keepalived でネットワーク（IP アドレス）を冗長化してみます。
ネットワーク（IP アドレス）冗長構成設計
以下のような構成で DRBD 環境を構築します。
VIP：192.168.1.15 ホスト名(1号機)：centos7 (サービス側：192.168.1.13) (DRBD側：10.0.0.1) ホスト名(2号機)：centos7-02 (サービス側：192.168.1.14) (DRBD側：10.0.0.2) keepalived ← 仮想 IP による冗長構成 及び ノード死活監視
環境
VMware環境：VMware ESXi 6.0.0 OS：CentOS 7.4.1708 Keepalived：v1.3.5
[test@centos7 ~]$ cat /etc/redhat-release CentOS Linux release 7.4.1708
[test@centos7 ~]$ rpm -qa | grep keepalived keepalived-1.3.5-1
[test@centos7 ~]$ keepalived –version Keepalived v1.3.5
Copyright(C) 2001-2017 Alexandre Cassen, <acassen@gmail.com>
Build options: PIPE2 LIBNL3 RTA_ENCAP RTA_EXPIRES FRA_OIFNAME FRA_TUN_ID RTAX_CC_ALGO RTAX_QUICKACK LIBIPTC LIBIPSET_DYNAMIC LVS LIBIPVS_NETLINK VRRP VRRP_AUTH VRRP_VMAC SOCK_NONBLOCK SOCK_CLOEXEC FIB_ROUTING INET6_ADDR_GEN_MODE SNMP_V3_FOR_V2 SNMP SNMP_KEEPALIVED SNMP_CHECKER SNMP_RFC SNMP_RFCV2 SNMP_RFCV3 SO_MARK
keepalived インストール及び設定
仮想マシン2台のネットワークを冗長化します。
冗長化を実現するために keepalived
keepalived のインストール手順
CentOS 7 の場合は yum コマンドで keepalived
特にリポジトリを追加する必要はなくデフォルトの「base」
[root@centos7 ~]# yum install keepalived
～ 省略 ～ base ← デフォルトの「base」リポジトリだけで「keepalived」をインストールできます。
～ 省略 ～
keepalived の設定
keepalived をインストールしたら設定をします。
keepalived をインストールすると自動的に「/etc/keepalived」 「keepalived.conf」
[root@centos7 keepalived]# pwd ls cat keepalived.conf ← オリジナルのコンフィグファイルです。 notification_email ← 警告メールの送信先アドレスを指定します。 notification_email_from Alexandre.Cassen@firewall.loc ← 警告メールの送信元を定義します。 smtp_server 192.168.200.1 ← メール送信に使用する SMTP サーバを設定します。 smtp_connect_timeout 30 ← SMTP サーバーの接続タイムアウト値を設定します。 router_id LVS_DEVEL ← クラスタの ID を指定します。 vrrp_instance VI_1 ← インスタンスの設定をするブロックです。「VI_1」は VRRP インスタンスの名称です。 state MASTER ← このインスタンスの初期動作モードを指定します。「MASTER」と「BACKUP」を設定できます。 interface eth0 ← 仮想ルータに参加するインタフェースを定義します。 virtual_router_id 51 ← 仮想ルータの識別番号を「0～255」の範囲で指定します。 この値は仮想ルータに参加するすべてのインスタンスで同じ値にする必要があります。 priority 100 ← 各インスタンスの仮想ルータ内での優先度を「0～255」の範囲で定義します。priority が高いものが MASTER になります。 advert_int 1 ← 各インスタンスの間で死活監視を行う間隔を秒数で指定します。 authentication ← 各インスタンス間で死活監視を行う時に使用するパケット認証を設定する認証ブロックの開始を示します。認証パラメータ（パスワード）は、仮想ルータ内のすべてのインスタンスで同じにする必要があります。 auth_type PASS ← 認証のタイプを「PASS」か「AH」で指定します。「PASS」は単純なパスワード認証で、AH は IPSec の認証ヘッダ機能を利用します。 auth_pass 1111 ← 認証パスワードを設定します。 virtual_ipaddress ←仮想ルータの IP アドレスを指定します。{} で囲んだブロックの中に IP アドレスを定義します。複数の IP アドレスを指定することができます。 virtual_server 192.168.200.100 443 { ← 対象とする仮想サービスを定義します。virtual_server は LVS によるロードバランサを設定する場合に使用します。 delay_loop 6 ← 死活監視用のポーリング間隔を秒で指定します。 lb_algo rr ← ロードバランスのアルゴリズムを設定します。rrはラウンドロビンです。wrrは重みを加えたラウンドロビンです。lcはコネクションが最も少ないインスタンスを選択します。wlcは重みとコネクション数によりインスタンスを選択します。 real_server 192.168.201.100 443 { ← real_server はバーチャルサーバーに所属するバックエンドのサーバーのことを言います。
今回は、「vrrp_instance」 「virtual_server」
「keepalived.conf」
[root@centos7 ~]# cd /etc/keepalived/ ls
[root@centos7 keepalived]# cp -ip keepalived.conf keepalived.conf.org
以下のように設定します。
■1号機（centos7）の「/etc/keepalived/keepalived.conf」の設定
[root@centos7 keepalived]# vi /etc/keepalived/ keepalived.conf ← メールの設定は特にしません。
router_id test
vrrp_instance VI_1 { ← 1号機を MASTER に設定します。 ← ens160 が対象です。 ← この IP アドレスが VIP になります。
■2号機（centos7-02）の「/etc/keepalived/keepalived.conf」の設定
[root@centos7-02 ~]# vi /etc/keepalived/keepalived.conf ← 2号機を BACKUP に設定します。
keepalived の再起動
keepalived の設定を変更したら keepalived を再起動します。
[root@centos7 keepalived]# systemctl restart keepalived systemctl status keepalived ● keepalived.service – LVS and VRRP High Availability Monitor active (running)
keepalived の動作確認
VIP の確認は「ip addr」
以下は「centos7-02」
[test@centos7-02 ~]$ ip addr inet 192.168.1.15/32 scope global ens160 ← IP アドレス 192.168.1.15 が付与されています。
「ifconfig -a」
[root@centos7-02 keepalived]# ifconfig -a ← ifconfig -a コマンドでは VIP が表示されません。
inet6 2408:210:8105:9500:fe27:e918:c2f3:ba1a prefixlen 64 scopeid 0x0
以下は VIP を持っていない「centos7」
VIP は表示されません。
[root@centos7 ~]# ip addr
【動作確認】Teraterm から VIP にログインしてみる
最後に keepalived の動作確認です。
Teraterm より VIP の「192.168.1.15」
2号機の「centos7-02」
keepalived 切り替え試験
keepalived サービスを停止して、ノード間で IP アドレスが移動するか動作確認をします。
■1号機の状態
[root@centos7 ~]# ip addr inet 192.168.1.15/24 scope global secondary ens160 ← 1号機が VIP を持っています。
■2号機の状態
[root@centos7-02 ~]# ip addr
■1号機の keepalived を停止する
[root@centos7 ~]# systemctl stop keepalived
[root@centos7 ~]#
■2号機に切り替わる
[root@centos7-02 ~]# ip addr inet 192.168.1.15/24 scope global secondary ens160 ← 2号機に VIP が移動しています。
■pingの確認
192.168.1.15 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=64 要求がタイムアウトしました。 ← フェイルオーバーしたタイミングで ping が1個欠けました。
関連ページ
いずれも Linux HA（Linux の冗長化）について解説をしています。
DRBDのインストールと設定手順
【Linux HA】冗長構成についての基本
参考文献
若干古いですが、「keepalived」 「hearbeat」 「DRBD」
Linuxのクラスタリングの構築技術としては唯一の書籍だと思います。
Linuxアドバンストネットワークサーバ構築ガイド HAサーバ構築編 (Network server construction guide series (13))
コメント